2015/5/5 直筆譜紹介スタート!

これまで、たくさんの楽譜を書いてきましたが、演奏される曲はその中のほんの一部です。

そこで、今まで書いた自作曲を順不同で、時間があるときに"簡単に"紹介していくことにいたしました!

演奏されなさそうな作品を主に、もちろん今までに演奏された作品も紹介します。ただし、楽譜は手書きによる直筆譜に限ります。

不定期更新になるかと思いますが、どうかお楽しみいただければと思います。

また、ここの楽譜の画像を保存して演奏していただいても構いません。(ただし本サイトのすべての文章の画像などの著作は作者である「永井秀和」に帰属します。)

2018/2/18 第8回 無題(3つの小品)     (2016/2/3~2/11 作曲)


楽器編成 Piano Solo

1. ♩≒ 48

2. Lento

3. Moderato

 

 

…ええ、お久しぶりになってしまいました。直筆譜プログ再開です。(次がいつになるかはわかりませんが…)2017年は大学を卒業し、フリーランスの作編曲家として活動を始めてんやわんやしていまして、このブログの存在をすっかり忘れていました。

そしてもうすぐフリーランス稼業も1年にさしかかろうとしています。やっとこちらにも手を伸ばすことができそうです。

 

さて、この作品ですが、2016年の2月、今からちょうど2年前くらいに顔面麻痺により入院している間に書いた作品です。(顔面麻痺になった理由は知る人ぞ知る…)

 

1曲目は、入院中に腕が落ちるのはいかんと思い毎日1曲は書こうという気持ちで書いた作品です。小節線はなく、フワフワした3部形式で書かれていますが、再現部はほとんどコーダ的に扱われています。そして、まさに病んでいる詩が添えられています。曲との関連性は特にないでしょう。ただただ不安が募っていたのだと思います。

 

2曲目は、低音域のフレーズと高音域のフレーズの2パターンのみで構成される楽曲です。1段に書かれ、徐々に悪化していく病状にすでに心が折れかけている様が容易に想像できます。そして、この後の3曲目で察しがつくと思いますが、この後毎日1曲という心持ちは失われました。(しかも日付間違ってる…)

 

3曲目は退院の前日に書かれました。

 

どう見てもサティの譜面です。本当にありがとうございました。

 

という具合に3部形式で書かれてます。病状も改善を見せ、退院も近かったので心持ちはだいぶ安定していました。ただ、やはりどこか不安は拭えないといった面持ちが楽曲に現れています。

 

 

 

といった具合で今回はここまでです。

少し内容の重いものを紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

次回はいつになるかわかりませんが、なるべく更新したいなと思っております。

 


2016/10/3 第7回  Memento mori...(2015/12/1 作曲)

楽器編成 Piano Solo

Lento

 

この作品の題名は"死を記憶せよ"とよく訳されるもので、ラテン語で「自分が必ず死ぬことを忘れるな」という意味になる。

曲の前半は非常に不安定なリズムよるワルツのような音楽による人生の走馬灯、後半は音楽の流れが止まり、和音による響きの堆積と効果音的な音の繰り返しによる"あの世"の空想をイメージさせる。曲の最後には前半のテーマが正しいリズム系(3/4)として登場し、輪廻転生による新しい生を表現している。

 

 

 

 

相当久しぶりのブログになってしまいました。

今年は何かと忙しく、また自身のトラブルが重なったためなかなか更新する機会がありませんでした。今後も不定期で更新していきます。

 


2015/11/22 第6回 F,Gの難病…解 (2014/12/13 作曲)

楽器編成 : Euphonium, Piano

Lento, a piacere

 

この作品の意図としては、Fという音を基調に曲が構成されており、そしてGへと解決しようとするが、なかなかGの音へと行こうとしない音群、そして度々、展開の変わり目にのみGが目立つように鳴り、Fという難病が一時的に「解」される、といったものです。その中に存在する自由な形式によるテーマの連続、テンポの有無の混在による病的な描写、これらがこの作品の軸となります。

※偉そうなこと書いてますが、初演の予定はいまのところありません。

 

 

 

ここ最近忙しさに追われて、このブログの更新が結局前回言った11月11日に間に合いませんでした・・・

次回は・・・日時は言わないでおきます。(笑)

 


2015/10/10 第5回 対立する2つの「静物」(2013/6/20 作曲)

楽器編成:ホルン独奏

Moderato

 

 

 

 

この作品はまだ我武者羅にひたすら楽曲を書いていた頃ですね。(笑)

スタッカートが主な第一主題とレガートが主な第二主題によって構成されていますが、題名のような「対立」している感じは特にはなく、むしろ共存しているように感じます。何年前の作品を今見てみると、やはりこのころは、ほぼ感覚で書いていたのだなと改めて感じます(今の自分がそうでないわけではありませんが・・・)。そして、最後の段、ヘ音記号にする意味なくね・・・?(笑)

 

 

このころ(大学1年生時)の作品は、それぞれ太さが異なる4つのペンを使い分けて書いていました。ペンの太さはそれぞれ0.3 , 0.5 , 0.7 , 1.0。例えば、ト音記号やヘ音記号、ハ音記号等の譜表は1.0の太いペン、そして連鉤は0.7、符頭(たま)尾(はた)は0.5、符幹(ぼう)は0.3。といったようにその図形の太さ(大きさ)に応じて使い分けていたわけです。しかし、ある時(大学2年時)からこれは効率があまり良くないことに気づき、全てを太さ0.38のゲルインクボールペンを使用するようになりました。現在もそれを愛用しています。

 

 

このブログも第5回を迎えました。次回はどうしましょうか・・・。とりあえず次回投稿日は

11月11日かなぁ・・・(笑)

 

・・・いえ、更新できる時に投稿しますよ!!

 


2015/9/9 第4回 割れ硝子(2014/2/2 作曲)

楽器編成:弦楽四重奏

♩= 60

 

だいぶ間が空いてしまいましたので、久々の投稿となります。やっとひと段落ついたので・・・

 

 

割れ硝子のような、尖った形の大きさの違う破片がパラパラと床にばら撒かれるイメージを持って作曲されています。音価よって破片の形と大きさを表しています。

 

 

この作品は小節を伴わない短い作品なのですが・・・今見ると「がんばれば小節に当てはめられるやん」という印象を受けます。むしろテンポ指定しているので逆に見辛いなという感じですね(笑)

 

 

楽譜はまだレタリングが発達していない頃で、音部記号や強弱記号等がまだ線で描かれています。多分当時の自分は、書き方の練習的な意味合いでも書いてたんじゃないかなと思います。

 

次回は時をもっっっっと遡ります。お楽しみに・・・!

 

 


2015/6/3 第3回 "7"の典礼(2014/12/16 作曲)

楽器編成:Viola, Piano

Moderato maestoso

 

1ページの短い小品です。スタイルも古典らしさを見せていますが、中間部の転調があくまでそのスタイルを崩そうとしています。題名の「"7"の典礼」の名のように、曲のほとんどが7/4で支配されており、和音の構成も、7の和音と、倚音を使うなどして瞬間的にも7の和音的な響きを作り出しています。d mollからC dur, Des durを経過してh mollに落ち着き、後半部分ではviolaのソロカデンツァとなり、拍子の枠から解放され、解放されたのちに待っているのは、最初の調d mollのピカルディ。荘厳なD durの主和音でフィナーレを迎え、典礼を終了します。

・・・1ヶ月ぶりの更新にもかかわらず、(楽譜もいつも通りなので)そんなに書くこともありませんでしたが、今回はこの辺りで。次回もまたどんどん時を遡ります。


2015/5/10 第2回 無いことにされたもの (2015/1/2 作曲)

楽器編成:声楽曲(Canto,Piano)

Andante


詩:

無いことにされたもの


古い洋館に雀の聲(こえ)がする

この洋館にはもう人は居ない

昔、作られた鉄葉(ぶりき)の玩具(おもちゃ)は

この洋館の中で生き続ける


何も無い空間は 魂をやどしながら

生き続ける、何時迄も



2015年の書き初めとして作曲された作品、にしては少し怪しげな雰囲気のある作品です。詩も自分で書きました。

曲全体で見るとA durなのですが最後まで解決することはなく(主和音の基本形が出てこない)、雰囲気は一貫しています。途中、転調しようとしていますが、結局完全に転調することなく雰囲気を貫き通します。

歌詞の内容は古ぼけた洋館の様子で、人の居なくなった廃墟の洋館の玩具や空間が魂を宿して、捨てられた今も生き続けているというもの。なにやらトイ◯トーリーのような話ですが(笑)

この詩の内容から、ピアノの伴奏は、空間の中の壊れたはずの古時計の音ようなイメージです。

雰囲気が曲全体を統一しているのは、人がいなくなって静かになった空間がそのまま残っている情景、しかし魂の宿った空間による感情の起伏がみられます。最後の(A durから見て)Ⅲの和音と高音オクターブによる2度のぶつかった音によって、その魂もが廃れていくイメージを作っています。


・・・ということで今回はここまでです。次回はもっと古い作品を紹介する予定です。



2015/5/5 第1回 Sacrifice of Druid (2015/2/25 作曲)

※楽譜はクリックで拡大できます。

 

楽器編成 : Violin,Piano

Moderato con moto

 

構成はAB(AB)A'(括弧は繰り返す場合)で、拍子は決まっていませんが、小節があり、変拍子のように移り変わります。

Aはヴァイオリンによる奇妙なメロディがピアノの行進曲のようなリズムに乗る形が主になっており、音楽は前進しています。

Bはmeno mossoから、ヴァイオリンがリズムを刻み、ピアノが雫が滴り落ちるような静かなパッセージを奏でます。

A'はAの再現ですが、Aとは違い音楽が萎縮していきます。最後まで萎むと最後に爆発するように大音量で低音が鳴らされます。

 

日本語訳で「ドルイドの犠牲」。ドルイドとはケルト人社会における祭司のことで、自然崇拝をする傍ら政治の指導もし、大きな社会的影響を持つ。立法者でもありました。争い事を調停あるいは裁決し、必要があれば人々に賠償や罰金を課し、ドルイドの裁決を不服とした者は、社会的地位や信用を失うということもありました。この作品はそのドルイドの犠牲をなった人を自分の想像で描いたものとなっています。


この時から、テキストのレタリングにも表現を置くようになりました。それまでもレタリングはしていますが、少し文字を崩して、そこに表現を見出す方法はいままでほとんどしなかった気がします。

 

というわけで初回はここまでにしておきます。